『スタンド・バイ・ミー』短評 — 線路の上をずっと歩いていく
あらすじ
1959年、オレゴン州の人口1,281人の小さな町。作家志望の少年ゴーディは、 行方不明の少年の死体が30km先の森にあるという噂を聞きつけ、 親友のクリス、テディ、バーンと線路伝いに死体探しの旅に出る。 少年たちのひと夏の二日間を描く、スティーヴン・キング原作の青春映画。
キャスト
- ゴーディウィル・ウィートン
- クリスリバー・フェニックス
- テディコリー・フェルドマン
- バーンジェリー・オコネル
- エースキーファー・サザーランド
- デニー(ゴーディの兄)ジョン・キューザック
- 大人になったゴーディリチャード・ドレイファス
30km先の死体を子供たちが見に行く——ただそれだけの映画なのだが、様々な場面で感情移入ができて面白い。そして何より、子供たちの演技が素晴らしい。
初見だった。最近は名作と呼ばれる映画をまとめて観ていて、その中から上映時間が比較的短い一本として選んだのが本作。スティーヴン・キングの自伝的な中編「THE BODY」を、ロブ・ライナーが1986年に映画化した89分の作品だ。
グッとくるのは道中のやりとりだ。例えばキャンプをして眠る夜の会話。4人はそれぞれ結構苦しい家庭環境に置かれながら、それでも健気に生きている。その様子に、どうしてもグッときてしまう。小さい子供にとって、一回り大きい兄貴世代というのは逆らうことすら怖いくらいの存在だが、その相手に勇気を持って対抗する姿にも胸が熱くなる。
中でも良いなと思ったのはクリス(リバー・フェニックス)だ。最初は主人公ゴーディをいじる、少し嫌な奴かと思っていた。ところが実際は一番の親友で、作家の卵であるゴーディの悩みに深く共感し、慰めてくれる優しい人間なのだった。
それから、ずっと線路の上を歩いていくのがいい。
最後、主人公の親友が死んでしまうのは切ないけれども。
印象に残った台詞がいくつかある(記憶による大意)。
- 「人口1,281人の町だったが、当時の私にとっては世界の全てだった」
- 「自分たちが何者で、どこへ向かおうとしているのか、はっきり分かっていた」
- 「チョッパーの一件は、神話と現実は違うのだと初めて教えてくれた」
- 「ただ、誰も俺のことを知らない場所へ行きたい」
最後のひとつが、一番好きだ。学生時代、同じことを思った覚えがある。というより、誰しもそうなのではないだろうか。学校中の笑い者にされるような恥ずかしい出来事。どうしても会いたくない相手。どうしても受けたくないテスト。子供にとっては、色々なことが自分の生死に関わるのではないかと思うくらい大事なのだ。そういうとき、隕石が落ちてきて世界が終わればいいのに、自分のことを皆が忘れてくれたらいいのに、と思ったことがある。だからこの台詞が、一番刺さる。