『セブン』短評 — 何も知らずに辿り着けた人は、幸運だ
- 作品
- 『セブン』(Se7en)
- 監督
- デヴィッド・フィンチャー
- 製作年
- 1995年(1990年代)
- 上映時間
- 127分
- 製作国
- アメリカ
- ジャンル
- スリラー犯罪
- 観た日
- 配信
- U-NEXT / Netflix / WOWOWオンデマンド
- 評価
- 93点
あらすじ
退職を目前に控えたベテラン刑事サマセットと、赴任してきたばかりの 血気盛んな若手刑事ミルズ。二人が追うことになったのは、「七つの大罪」に なぞらえた連続殺人事件だった。デヴィッド・フィンチャー監督による サイコスリラーの金字塔。
キャスト
- ミルズブラッド・ピット
- サマセットモーガン・フリーマン
- トレイシーグウィネス・パルトロー
これは、すべてがネタバレになりうる映画だ。まだ観ていない人には、何も調べず、何も知らずに観ることをおすすめする。この記事も、ここから先は読まずに閉じてほしい。
ひとつだけ、観る前の注意を。観た後、かなり引きずる映画だ。そして、食事中に観られる映画ではない。猟奇殺人の描写がかなり生々しく、観ているだけでオエっとなるシーンも多い。雨と暗がりが支配する陰鬱な画作りは、この作品によく合っている。
話が逸れるが——私は「終盤にどんでん返しがある」という情報すら、もうネタバレだと思っている。だからこの手の映画に限らず、「ネタバレ厳禁の映画だ」ということすら知らないまま作品に辿り着けた人は幸運だ、と考えるようになった。かく言う私は、知人と「どんでん返しのある映画」について語っていたときに本作の名前が挙がり、気になって観た口である。つまり、その幸運には恵まれなかったわけだ。
画作りについてもうひとつ。全編を雨が支配するなか、終盤だけ晴れるのが、逆に不気味なのだ。
途中から、ミルズの妻トレイシーの描写が結構多いなと思っていて、嫌な予感はしていた。……まさか、生首にされてしまうとは。
気になるのは、ジョン・ドゥはいつからトレイシーを標的にしていたのか、だ。ミルズとサマセットの追跡を受けたとき、彼はその場でミルズを殺すかどうか逡巡していたようにも見えた。最初からトレイシーを標的に定めてミルズを巻き込むつもりだったなら、ミルズの頭を殴った時点で、すぐに逃げることを選んだ気がするのだ。銃口を向けながら「トレイシーを巻き込んだ方が面白い」と考え直したのではないか——と勘繰ってしまう。
しかし作中の描写から、ジョン・ドゥが非常に計画性の高い犯行を重ねてきたことも分かっている。追跡を受けたからといって、コロッと考えを変えるとも思えない。真相やいかに。
最後、サマセットが箱を開けたときの演技、そしてミルズが銃を撃つまでの演技は圧巻だった。大抵の人は、あそこで撃ってしまうよな。サマセットは全編を通して知性と哀しみの演技が素晴らしく、血気盛んなミルズとの対比がよく効いている。
93点。満点に届かないのは、後味の悪さと、ジョン・ドゥの行動に納得しきれない部分が残るからだ。それでも、観終わってこれだけ引きずられ、ああでもないこうでもないと考察を書かされてしまう。そういう映画である。